たった7日間で恋人になる方法

いくつかの野菜を取り分け、拓真君に差し出すと、『サンキュ』と受け取ってくれる。

『…で、萌は本当はどんな映画のジャンルが好きなの?』
『う~ん、特に決まったジャンルは無いかな?恋愛ものも別に嫌いじゃないけど、あの手の泣ける系はダメ…感情移入し過ぎて、メンタルやられちゃうし』
『…萌らしいな』
『どういう意味?』
『想像力が凄そう』
『あ~、確かに…私、半分バーチャルな世界で生きてるからね』
『ククッ…褒めたつもりはないんだけどな』

そういうと、笑いを堪えながら、軽く湯にさらしたお肉をほおばる拓真君。

自分が笑われているにも関わらず、不思議と嫌な気持ちはしなかった。

考えたら、初日の、何を話したらいいのか戸惑っていた自分が、嘘のように会話が弾む。

もしも、これが現実の”デート”というものなら、リアルな恋愛も悪くないな…と思うほどに、”楽しい”と感じている自分にも驚いた。

『じゃ、次は笑える恋愛映画にするか?』
『…え』

何気なく口にした拓真君のセリフに、思わず箸を止めると、気付いた拓真君が直ぐに訂正する。

『ああ、悪い…次なんて、有る訳ないよな』
『そ…』

”そんなことない”と否定しようとして、口を噤んだ。
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