たった7日間で恋人になる方法
一瞬この先、拓真君とこのまま”友人”として、こんな風に続けていけたら…と考えて、それが叶わないことなのだと、すぐ否定した。。

冷静に考えれば、私には”琉星”がいて、拓真君には想いを寄せている人がいる。

明日が無事に終われば、私は琉星との穏やかな毎日が戻り、拓真君はきっと勇気を出して、自分の想いを相手(彼)に伝えれば、晴れてリアルな恋人ができるかもしれない。

この関係は、あくまでもこの1週間限定のものなのだから。

『萌!鍋、噴いてる、噴いてる』
『あッ、わわわ…』

慌てて火を止めると、目の前の拓真君に『何、ボーとしてんだよ』と笑われた。

いつも職場でぼっーとしてるのはそっちのくせに…と思いながら、その言葉は口にはしなかった。

これ以上の深入りは、禁物かもしれない。

私達の関係は、明日が終われば解消されることは最初から決まっていたこと。

そんなことはお互い分かりきっているのだから。

『ねぇ拓真君、お肉追加しちゃおうか?』
『お、いいね』

不可解な感情を胸の奥底に感じながら、それを断ち切るように、店員を呼ぶ呼び出しボタンを押した。
< 141 / 274 >

この作品をシェア

pagetop