たった7日間で恋人になる方法

日曜日、午後2時の駅近の歩道は、休日を楽しむ人で、忙しなく行き交っている。

9月の半ばを過ぎてもまだ秋本番までは先らしく、日差しも眩しくて、ジッとしていたら汗ばむくらいの陽気。

その日差しを避けるように、歩道の脇にある植栽の端に立ち、先ほどのメッセージを表示して、その先に続く文章をもう一度読み返す。


”昨日の…別れ際のことも、今夜、ゆっくり話をさせてほしい”


チクリと胸が痛んだ気がした。

互いにお酒も入り、ほろ酔い気分で、まるで本物の恋人のように身を寄せて手を繋ぎ、電車を待っていた、人気の少ない駅のホーム。

あの時、確かにこのまま”もっと一緒にいたい”って思ってしまった私は、(そんなつもりは無かったけれど)誘うような顔をしてしまっていたのかもしれない。

拓真君はただ、場の雰囲気に流されてしまっただけ。

あの時の、拓真君の驚いた顔は忘れられない…だって、それはそうだろう。

酔っていたとはいえ、キスしたら相手が”女性”なのだから、彼こそ傷ついていないか、心配になる。

出来るだけ業務的に、拓真君があまり気に病まないでいいように、細心の注意を払って、短い文を返信した。


”了解です。

昨夜の件も、大丈夫。
拓真君の気持ちわかってるから、気にしないで”


メッセージを送ると、そのまま天を仰いだ。

拓真君との仮初めの恋人契約解消まで、残り数時間。

この気持ちは、胸のずっと奥に封印し、拓真君に悟られないようにふるわなければ。

例え偽物だとわかっていても、初めて恋愛感情を持った3次元の相手と、最後の最後まで、恋人でいたいから…。
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