たった7日間で恋人になる方法
『美園の気のせいでしょ』
『ううん、間違いないわね…ちょっと様子伺ってるのかも、萌に本当に男がいるのかどうか…さすがに、あのイケメン細マッチョも”男”がいる女、口説く勇気はないんでしょ』

そこで、美園が会計担当の子に、予算で相談したいことがあるからと、お呼びがかかった。

既にこの二次会運営の中心になっている美園は『今行く』と返答しながら、席を立つ。

『ま、このまま時枝君が来なければ、素直に彼に口説かれるのも、萌にとっては良い勉強かもね』

面白そうにそう言うと、さっき美園に声をかけた同級生の元に行ってしまう。

美園の言葉をそのまま信じたわけじゃないけれど、さりげなく中央のテーブルに視線を向ければ、相変わらず複数の友人らと話に夢中になっている関本君が見えて、その姿からはやっぱり私の隙を狙っているようには、全く見えない。

今回ばかりは、美園の感は外れそうだ。

それより…。

手のひらに包んだ沈黙のままのスマホを見ながら、約束の時間を大幅に過ぎてもなお、連絡一つない拓真君が気になる。

昼過ぎのメッセージでは、”必ず行くから”と書いてあったけれど、もしかして彼の身に何かあったのだろうか。

それとも、やっぱり美園が言ったように、単純に、見知らぬ人達の前で偽物の恋人を演じきれる自信が無くなっただけなのかもしれない。

…きっと本当の恋人だったら、男性を紹介されるかもしれない場に、自分の彼女が行くとしたら、何を置いても駆けつけるものなのだろうけど…。

想像力が豊かなことが、今や仇となり、ジッとしていると、ネガティブなことばかりが頭に浮かぶ。

とはいえ、気分的に中央テーブルで談笑している関本君達の輪に加わる気も起きず、何となく外の空気が吸いたくなって、立ち上がった。
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