たった7日間で恋人になる方法
『ここって立地条件が、最高だよね』
唐突に聞こえてきた声に驚き、振り向くと、さっきまで、室内にいたはずの、関本君が立っていた。
咄嗟に少し離れてしまった室内を見下ろせば、同級生と打ち合わせ中だったはずの、美園の姿が見当たらない。
関本君はゆっくりと近づき、すぐ隣に立つと、真っすぐその眼下に広がる景色を望む。
『土地の形状上、裏の敷地が一段下がってる上に、この公園の向こうに今見えてる住宅街は、低層住居専用地域らしい…だからこの先も、ずっと遮るものは無いんだってさ』
”隙あらば…”
美園の警告を思い出し、無意識に構えてしまう。
『そう…なんだ、詳しいね』
『フッ…そんな身構えないでほしいな』
『え…』
『高木から聞いてるんだろ?俺が君のこと…って話』
どう答えていいのかわからず、視線を泳がせると、手摺に両肘をかけ、上体を前傾してこちらを見る。
『安心してよ、捕って喰おうってわけじゃないから…それに、森野さん、今、彼氏いるんでしょ?』
『…うん』
『彼とは長いの?』
『一年と…少し』
『それじゃ、割り込む余地もないね』
予定通りの嘘を、それらしくツラツラ並べてみれば、まるで本当っぽく聞こえ、案外上手く騙せた気がする。
関本君は、大げさに肩を落とすジェスチャーをすると『残念だなぁ』とさわやかな笑顔をみせる。
第一、最初から写真だけで気に入られただけで、あんまり本気じゃなかったのだろう、別段落ち込む様子もなく、こちらもホッとして、緊張感が緩む。