たった7日間で恋人になる方法

職場での時枝君は、素の自分を隠して、常にバレないように気を張っているのかもしれない。

私がいつもと違うと感じているのは、これが偽りのない素の時枝君だから。

自分も彼ほどの秘密じゃないにしても、周りにどう思われるかを気にして、普段はヲタクな部分を封印し、普通の女性を演じてるのだからわかる。

本当は大好きな琉星のことだって、隠す必要なんか無いのに。

テーブルの上に置いた両手をぐっと握り合わせると、まだ職場の誰も知らないであろう素直な自分を見せてくれている時枝君を、ジッと見つめる。

『時枝君』
『あ、はい』
『早速だけど、昨日お願いした件について、本題に移らせてもらっていいかな?』

時枝君も、今日の主旨は充分理解してくれているのか、私の言葉に居住まいを正し、真剣にこちらの話を聞く体制を整えてくれる。

『わかりました』

私は、今日本来の目的を果たすべく、時枝君にこれまでの経緯を…自身の恋愛観のカミングアウトも含めて、順を追って丁寧に話して聞かせた。



『なるほど…つまり、森野さんには、バーチャルな世界に”琉星”という彼氏がいて、その男の為にも、今週末の紹介の話は受けられないと…』
『うん…まぁだいたい、そんなとこかな』

時枝君は終始、笑ったりバカにしたりせず、きちんと最後まで話を聞いてくれた。

だいぶリラックスしているのか、話しながらも小鉢に入った枝豆に手を伸ばす。
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