たった7日間で恋人になる方法
『冗談は…』
『冗談じゃない、昨夜だって、てっきり君も来ると思っていたんだが』
『あの、わ、私…付き合ってる人が…』
『ああ、君の同僚に聞いたよ、若い有能な医者だとか』
おそらく篠原さん辺りが話したのだろう…美園が琉星の話をするわけがない。
『随分ハイスペックな男と付き合うんだな』
少し含みのある笑みは、口には出していないけれど、”君程度の子が”と言われたような気がした。
『あなたに…関係ないでしょ』
そもそも、牧村さんに興味を持たれるような要素は、何一つ持ち合わせていないことは、自分自身が一番わかっているのだから、これが単純な揶揄いであることは明白だった。
これ以上、牧村さんのそれに付き合う気は無い。
視線を廊下の先に戻し、毅然と言い放つ。
『仕事に戻ります』
『おっと…つれないね』
行く手を軽く遮られ、若干、ムッとする。
『何ですか?社内の女性すべてが自分に向いていないと、納得いかない…とでも?』
『おいおい、俺を”如月”と一緒にするなよ』
『…キサラギ?』
『ああ、君は如月を知らないのか…如月というのは私の同期でね、仕事はかなり優秀な男だったんだが、女にだらしないのが難点で、何人もの女性社員に手を出した挙句に、問題を起こして解雇されてしまった、馬鹿な奴さ』
他人事のように話すけれど、あなたと何が違うのか?と言いそうになった。