たった7日間で恋人になる方法

拓真君が予約してくれたお店は、駅前のにぎやかな通りから1本入った裏路地にあり、見た感じ両隣には何もなく、ただポツンと現れた木製の扉に、店名らしき英字が小さく書かれているだけ。

『ここ?』
『入口はちょっと暗いけど、店の中は…そこそこ明るいから』

拓真君が扉を開けると、そこは小さな踊り場のようなスペースになっていて、すぐ先に地下に降りる階段が伸びている。

どうやらお店自体は、この先の地下にあるようだ。

後ろで入ってきた扉が閉まると、足元を照らす間接照明だけが、ほんのり見えるだけで、その先は見えなくなり、まるで異世界の入口のようで、降りるのを一瞬、躊躇ってしまう。

階段の降り口の手すりにつかまり、目の前の暗闇を見つめて立ち止まる。

『怖い?』
『べ、別に、怖くなんか…』

狭い空間で、隣に立つ拓真君を見上げると、長い前髪の隙間から、黒縁眼鏡の奥に見える瞳と視線がぶつかり、何故かジッと見つめられる。

『萌』

ドキッ

『…大丈夫、俺がずっとそばにいる…』

低く甘めの声で、まるでゲームさながらのセリフに、急激に高まる心拍数。

このシチュエーションも加わって、本当にバーチャルな世界に入り込んだような、錯覚を起こす。
< 85 / 274 >

この作品をシェア

pagetop