たった7日間で恋人になる方法


扉を開くと、そこは予想だにしていなかった世界が広がっていた。

入口の小さな扉からは想像できない程に広い店内は、2階部分の高さまでの吹き抜けで、開放感があり、とても地下だとは思えない。

何より先ず視界に飛び込んできたのは、お店の中央に存在感を現すような丸い円柱の水槽に揺らめく、白い無数のクラゲ達。

『…本物?』
『近くで見てきたらいい』

拓真君に促され、吸い込まれるように、店内中央に進み、水槽の表面ガラスに顔を近づけてみる。

水中で自由に泳ぐ、白く透き通った生物は、画像でも映像でもなく、そこに存在しているのは明らかで、その単調で緩やかな動きに目を奪われて、しばしその場から動けなくなる。

店内は全体に淡いブルーの照明で、そこかしこに存在するアクアリウムの光とそこから放たれる水面の揺らめきで、まるで海の底にいるようだ。

『時枝様、お待ちしておりました』

店長らしき男性が、拓真君に近づき声をかける。

どうやら拓真君が、この店の常連であることは、その話ぶりで本当らしかった。

『本日もお一人で?』
『いえ、今日は…』

そう言って、こちらをチラリと見ると、男性もつられるようにこちらを見たので、思わず軽く頭を下げる。

『ほう、なるほど…では、本日はテーブル席の方に』
『いや、いつもの…カウンターでお願いします』
『よろしいのですか?』
『ええ…それと、できれば…』

その続きは、なぜか男性に近づき、周りには聞こえないように耳元でコソリと言うと、軽く笑みをもらし、頷く男性。

『かしこまりました…では、こちらへ』
『萌』
『あ…うん』

突然名前を呼ばれて、拓真君の後ろについて歩く。
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