たった7日間で恋人になる方法
凄い…なんか、自然すぎて、違和感が全く無い。
そもそも、私はともかく、この店の常連であれば、通常の拓真君を知っているはずなのに、お店の人こそ今日の彼がいつもと違うことに、違和感を感じないのだろうか?
それほどに、拓真君のなりすましは完璧だった。
店内は左右の壁一面に大きな水槽が巡り、手入れの行き届いたアクアリウムが独特の癒しの空間を造っていた。
案内された席は、店の一番奥にあたり、長いカウンターの一番左端。
目の前の視線の先には幅1メートル程のはめ込み型の水槽が、カウンターの端から端まで連なり、蒼いネオンテトラが、鮮やかな海藻の中を泳いでいる。
『綺麗…なんか癒されるね』
『ああ、俺も疲れが溜まると、いつもこの店にきて、癒してもらってる』
『……』
『何?』
『…拓真君、自分のこと”俺”って、自然に言ってる…』
『さっき、琉星になりきるって言っただろう?…そういえば、彼は仕事以外は、眼鏡してないんだっけ?』
言いながら、拓真君が日常ずっとかけていた、太い黒縁眼鏡をはずしてみせる。
初めて見る拓真君の素顔。
そこには予想外に切れ長のキリリとした目があらわれ、いつもと違う素顔に、まだドキリとした。
『…見えてるの?』
『ああ、もともと度は入っていないんだ、視力は割と良い方だからね』
『?…じゃあ、どうして?』
思わず問うと、顎に手をあて、面白そうにこちらを覗き込む。