たった7日間で恋人になる方法
そもそも、同性愛者の拓真君に、こんなことさせてるなんて、彼にとったら耐えがたい屈辱なのかもしれないのに。
新しいカクテルが運ばれてきて、店員がいなくなると、拓真君は飲んでいたグラスを一旦置き、昨日と違って遮るもののない瞳で、改めてこちらに向き直る。
『さて…どうする?』
『どうするって?』
『俺達、1年も付き合ってるのに、この距離感は…どうだろう?』
言われてみれば、裕に3人くらいは充分座れる長椅子なのに、拓真君の座っている位置から無意識に離れて座ってしまっていて、この距離感は、友達としたらアリだけど、恋人としたら…う~ん、有り得ないかもしれない。
これでは、交際一年という”嘘”は、簡単に見破られてしまうに決まってる。
『…そっち、寄ってもみても良い?』
『どうぞ』
勇気を出して、言ったものの、酔いたいと思って飲んでいるからなのか、なかなか酔うこともできず、羞恥心だけが残って、なかなか近づくことができない。
せっかく、今日は向かい側に座っていた時と違って、手を伸ばせばすぐ触れてしまう距離に拓真君がいるのに…。
そんな私の様子を見かねた拓真君から『俺がそっち寄ろうか?』と提案される。
この際、他力本願でも止む追えないと、その申し出に小さく頷くと、拓真君がゆっくり移動して、ピタリと真横に席を下す。
ほんのり触れた右側が、人の持つ温もりを直に感じる。
今更飲んだアルコールが効いてきたのか、身体中が熱く、緊張しているせいか、心臓がバクバクと音を立てた。