たった7日間で恋人になる方法
『あれ?拓真?』
唐突に真後ろから声がして、反射的に離れると、二人同時に後ろを振り返る。
少し離れた通路を、店員にテーブル席へ案内されていた男性3人のグループの内、同世代か少し年上くらいの男性が、驚いた顔でこちらに話しかけてきた。
『何だ、お前も来てたんだ』
よほど親しいのか、一緒に来た友人達に一言告げて、にこやかな笑顔でこちらにやってくる。
『知ってる人?』
『ああ、大学の…先輩』
あまり会いたい人ではなかったのだろうか?
拓真君の方は、少し動揺しているようなそぶりを見せる。
『悪い…ちょっと行ってくる…』
『あ、うん』
拓真君は、席を立つと、真っすぐその先輩に向かって歩き、『お久しぶりですね』と声をかけると、先輩の背に手を添え、そのまま中央のクラゲ水槽の方まで誘導していってしまった。
拓真君の身長もかなり高いけれど、一緒にいる男性も同じように高身長で、揺らめく無数のクラゲを前に、二人が立ち話を始めると、それだけでなかなか絵になる光景になる。
さっき感じた、拓真君の動揺は気のせいだったのか、二人は楽しそうに談笑し、先輩と言ってた男性は、さりげなく拓真君の髪に触れ、拓真君も何だか照れくさそうにしている。
もちろん、拓真君が同性愛者だと知ってはいたけれど、それを目の当たりにすると、やはり少しショックな光景。
それに、さっきまで琉星(男性)モード全開だった為に、そのギャップは大きかった。
『…何よ、その顔、全然琉星じゃないでしょ』
小さくつぶやくと、これ以上、デレてる拓真君は見たくないと、カウンターに向き直り、残っていたカクテルを飲み干した。