愛育同居~エリート社長は年下妻を独占欲で染め上げたい~
かつてこの近所に住んでいた年配の男性が、祖母に会いに訪れて、『娘らしくなったな。ペッピンさんだ』と私のことを褒めてくれた時があったけど、その時は笑ってお礼を言うことができた。
それなのに今は、どんな返事をすればいいのかわからず、「あの……」と言ったっきり言葉が続かない。
灰青色の優しげな瞳と目を合わせていられずに俯いてしまったら、桐島さんはクスリと大人っぽい笑い方をした。
そして、耳まで顔を火照らせる私の頭をひと撫ですると、「行ってきます」と背を向ける。
「あ……行ってらっしゃい!」
長い足で駅の方へと進む、スーツの後ろ姿を見送りながら、私は胸に手を当て、速い鼓動を鎮めようとしていた。
日本国籍を持っていても、生まれ育ちがベルギーなので、きっと女性を褒めるのも彼にとっては普通のことなのだろう。
生粋の日本人男性なら、照れくさくて、あんな褒め方はできないんじゃないかな……。
素敵な褒め方をしてくれた彼がとても大人に見えて、うろたえるしかできなかった私を子供っぽく感じる。
ひと回りの年の差があるから、当然かもしれないが。
私も、精神的にもう少し大人になりたいと思っていたら、開け放してある玄関扉の奥から、祖母の声がした。
「有紀子、洗濯機、止まってるよー」
「はーい!」
それなのに今は、どんな返事をすればいいのかわからず、「あの……」と言ったっきり言葉が続かない。
灰青色の優しげな瞳と目を合わせていられずに俯いてしまったら、桐島さんはクスリと大人っぽい笑い方をした。
そして、耳まで顔を火照らせる私の頭をひと撫ですると、「行ってきます」と背を向ける。
「あ……行ってらっしゃい!」
長い足で駅の方へと進む、スーツの後ろ姿を見送りながら、私は胸に手を当て、速い鼓動を鎮めようとしていた。
日本国籍を持っていても、生まれ育ちがベルギーなので、きっと女性を褒めるのも彼にとっては普通のことなのだろう。
生粋の日本人男性なら、照れくさくて、あんな褒め方はできないんじゃないかな……。
素敵な褒め方をしてくれた彼がとても大人に見えて、うろたえるしかできなかった私を子供っぽく感じる。
ひと回りの年の差があるから、当然かもしれないが。
私も、精神的にもう少し大人になりたいと思っていたら、開け放してある玄関扉の奥から、祖母の声がした。
「有紀子、洗濯機、止まってるよー」
「はーい!」