愛育同居~エリート社長は年下妻を独占欲で染め上げたい~
紫陽花荘は桐島さんの持ち家なのに、家主を追い出すようで、それは私が心苦しい。

かと言って、ふたりを気にしながら寝なければならないのもつらいので、やはり、私が外泊するのが一番いいのだ。


桐島さんが納得してくれそうな、外泊の理由付けはなににしよう……。


頭を悩ませつつ、メール画面の点滅するカーソルを見つめていたら、スマホが震えた。

桐島さんからの電話かと焦ったが、弟の武雄からである。

「もしもし」と通話に出れば、《姉ちゃん、元気?》と明るい声がした。


「うん、元気だよ」


武雄は、メールはよく送ってくれて、高校生活を真面目に楽しく過ごしていると知らせてくれるから、私は安心していられる。

でも、電話は滅多にかかってこない。

こっちから夜に連絡しても、寮の友達の前で姉と話すのは恥ずかしいらしく、電話に出てくれずにメールで【なに?】と聞いてくる。

それで、「電話をくれるなんて珍しいね。どうしたの?」と問えば、スマホの向こうで照れくさそうにヘヘッと笑う声が聞こえた。


《姉ちゃん、今日誕生日だろ? おめでとうって言いたいじゃん》


姉思いの優しい弟の気遣いに、私は目を瞬かせる。


「武ちゃん、ありがとう。でも、あのね、私の誕生日は来月だよ」

《えっ、今何月? 五月だよね?》

「四月だよ。しっかりして」

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