愛育同居~エリート社長は年下妻を独占欲で染め上げたい~
彼氏ではなく、喧嘩しているわけでもないけれど、出会ったばかりの店員に事情を打ち明ける気はないので、「そんな感じです」と答えて目を逸らした。

すると「帰って、話し合った方がいいんじゃない?」と心配される。


「帰りたくないんです」

「友達とお泊まり会って、嘘だろ。どうすんの? この店は二時に閉まるけど」


そこまでしっかり聞かれていたことに驚きつつも、見ず知らずの私を心配してくれるお節介さに、心が少し温められた。

見た目は少し怖いけど、優しい人なんだ……。


「このビルの三階にあるネットカフェに行くので大丈夫です。ご心配ありがとうございます」と笑顔を向けたら、なぜか呆れの目を向けられた。


「ここのビル、駅近だから客入りいいんだよ。金曜の夜なんて、絶対満室」


「ええっ!?」と声を上げて焦る私に、彼は「どうするの?」と二度目の問いを投げかけた。

ど、どうしよう……。


代替案がまったく浮かばないのは、アルコールが体に吸収された影響なのか。

目に見えてうろたえる私を残し、彼はバーカウンターを離れてしまう。

テーブル席の他の客が注文しようと店員を呼んでいるからだ。

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