愛育同居~エリート社長は年下妻を独占欲で染め上げたい~
解決策を与えてくれると期待していたわけではないが、急に心細くなり、もう少し話し相手になってほしかったと残念に思っていた。


彼は注文を取り、カウンター内のバーテンダーにそれを伝え、できあがったドリンクを客席に運ぶ。

働く彼の姿を視界の端に捉えつつ、朝までどこで時間を潰せばいいのかを真剣に悩んでいたら、店員の彼が私のところへ戻ってきた。

「これ、あげる」と渡された物は、紙製の丸いコースターで、今オレンジジュースのグラスの下に敷いてあるものと同じである。


不思議に思いつつも、コースターを新しいものに取り変えろという意味かとグラスを持ち上げたら、「違う、裏」とぶっきらぼうな口調で言われた。

コースターをひっくり返すと、そこには携帯の電話番号とメールアドレスがボールペンで書かれていて……。


入店した時には隣に女性客が座っていたのだが、今は空席である。

そこに彼が腰掛けて、コースターを手に「え……?」と戸惑っている私と視線を交えた。


「俺、零時上がりなんだ。それからでいいなら泊めてやるよ。部屋、汚いけど。それまでファミレスででも時間潰してな」


目を丸くした私は、数回言葉を交わしただけの客に、なぜそんなにも親切なのかと考える。

自分が面倒みなければと思わせてしまうほど、私は頼りなく見えるのだろうか……。

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