愛育同居~エリート社長は年下妻を独占欲で染め上げたい~
赤字経営の店舗を整理して、なんとか持ちこたえていた矢先、アメリカの有名チョコレート会社が、ベルギーを含めた西ヨーロッパ諸国に十店舗の同時出店を計画している話が流れてきたそうだ。

それが来春ということで、モルディのベルギー社は大慌てである。

どちらも高級チョコレートを売りにしているため、客層が被ってしまうのだ。

客を奪い合った結果、撤退するのは、果たしてどちらなのか……。

この一大事に対応するべく、桐島さんが呼び戻されることに決まったという説明であった。


私は強い衝撃を受けていた。

紫陽花荘から、桐島さんがいなくなってしまうなんて……。

ショックではあるが、離れてしまうことへの寂しさや、恋人関係を続けることができるのかという不安までは、まだ頭が回らない。

なにも言えずに驚きの目を彼に向けて、一層強くエプロン生地を握りしめるだけであった。


「拒否することはできなくもないが、恩ある叔父を見捨てることはできない。すまない、有紀子。わかってくれ」

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