愛育同居~エリート社長は年下妻を独占欲で染め上げたい~
桐島さんは、古いけれど掃除が行き届いたこの居間を見渡すようにゆっくりと視線を動かして、それから小さなため息をついた。


「手放す気はないが、しばらく空き家の状態になってしまうな。人が住まない建物は、傷みが進むものだ。管理会社に任せるか、どうするか……」


それから私たちは、黙り込んでしまった。

桐島さんが口を開かないのは、私の心に、この厳しい現実が染み込むのを待ってくれているからなのではないだろうか。

一方、私は俯いて、迷いの中にいた。

桐島さんと離れたくないので、一緒にベルギーに行きたい気持ちはあるけれど、弟と紫陽花荘の心配は拭えない。


振り子時計の時を刻む音が、やけに大きく聞こえていた。

数分して顔を上げた私は、眉尻を下げて、「あの、考える時間をください。週末にはお返事します」としか答えられなかった。


桐島さんの小さなため息が聞こえる。

「わかった」と頷いて微笑んでくれたけど、私が『一緒に行きます』と即答しなかったことを、残念がっているのが伝わってきた。




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