愛育同居~エリート社長は年下妻を独占欲で染め上げたい~
「お疲れ様。武ちゃんはよく頑張ったよ」と、弟のこれまでの努力と苦労をねぎらえば、照れたように笑う声がした。

それから真面目な声で、《これからは大学入試に専念する。絶対に合格するから》と頼もしく宣言してくれた。


武雄の進学希望先は、東北にある、今通っている高校の系列大学であり、入試はあっても外部からの受験生よりは入りやすいと聞いている。

加えて弟は真面目で成績がいいので、浪人の心配はしていない。

私にはもったいないほどに、立派な弟である。


武雄の話を聞いた後は、《姉ちゃんは最近どう? 桐島さんとうまくやってる?》と尋ねられた。

ひやかすような口調で言われたのに、私はいつものように照れることができない。

来月から桐島さんがベルギーに戻ってしまうことを、弟にも知らせておかなければと思って口を開いたのだが、「武ちゃん、あのねーー」と言った後は言葉が続かなかった。


ついていくか日本に残るのかを迷っているのだと、弟に話すのをためらっていた。

武雄なら、『行きなよ。俺はひとりでも平気』と言うに決まっているからだ。

それはきっと姉を思っての痩せ我慢で、ひとりぼっちになった弟が心細くならないはずはない。

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