愛育同居~エリート社長は年下妻を独占欲で染め上げたい~
今、モルディジャパンの指揮を取っているステーマン社長は、桐島さんと入れ替わりにベルギー社から来た人で、代理社長だと聞かされている。

経営の指示は、ベルギーから桐島さんがしているはずだ。

それは彼が、二年の不在の後にモルディジャパンの社長に戻る予定でいるからで、私はそれを信じて不安にならずに、彼の帰りを待つことができていた。

それなのに、ステーマン社長に経営の全権を譲るとは、帰る意思をなくしたという意味なのでは……。


鼓動が嫌な音を立て、うるさく鳴り立てる。

約束を破るつもりなのかと、桐島さんに対して懐疑的な思いが芽生えたが、即座にそれを押し潰した。

疑う前に、確認しないと。

帰ったら、桐島さんに電話してみよう……。


聞いてしまった噂話のせいで、午後の仕事は集中力に欠き、予定通りに進めることができなかった。

時刻は十九時半。

紫陽花荘に帰り着いた私は、ひとり分の簡単な夕食を作り、祖母の形見である大切なぬか床を混ぜて、新しい野菜を漬け込む。

食事を済ませたら、干していた洗濯物を取り込んで、入浴とお風呂掃除をする。

そして、埃が薄っすらと溜まっていた二階の廊下に掃除機とモップをかけたら、時刻は二十三時になっていた。


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