愛育同居~エリート社長は年下妻を独占欲で染め上げたい~
まるで私に『お帰り』と言ってくれているような気がして、自然と口元に笑みを浮かべていた。


いつもの道を紫陽花荘に向けて歩きながら、美しい夕焼け空を楽しめば、西の方角に一番星を見つけた。

沈む夕日の眩しさに負けじと輝くその星に、桐島さんの幸せを祈る。


どうか、桐島さんの未来が、彼の望んだ通りに描かれていきますように……。


彼は私の恩人である。

約束通りに日本に帰ってきてくれなくても、その事実は変わらない。

祖母が急死した三年ほど前、目の前が真っ暗
になった私を支えて、未来への道を照らしてくれたのは彼である。

桐島さんが紫陽花荘を買い取ってくれたおかげで、思い出の詰まった大切な建物を壊さずに済んだのだ。

就職の面倒もみてくれて、充分な給料をもらい、安定した生活を送ることができるのも、彼が助けてくれたからである。

そして、私に愛を教えてくれたのも、桐島さん……。


今は私から心が離れてしまったようだけど、二年前まで与えてくれた愛情に、嘘はないはず。

彼に抱きしめられ、唇を合わせて、愛を囁いてもらった思い出は、これから先もずっと大切にしていきたい。

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