愛育同居~エリート社長は年下妻を独占欲で染め上げたい~
桐島さんの反応が怖いという気持ちを抑えて、すぐ近くに座っている彼を見れば、ひとりだけ黙々と食事を続けていた。

煮物を口に入れ、さやいんげんの胡麻和えに箸を伸ばし、ワカメと豆腐の味噌汁をすする。

その様子があまりにも普通で、私は戸惑いの中に落とされた。


落胆しているようにも、困っているようにも、怒っているようにも見えない。

鮭の塩焼きとご飯を口に入れ、美味しそうに頷きながら咀嚼しているその様子を、どう捉えたらいいの……?


「あの、桐島さん?」と問いかければ、彼がいつも通りの優しい微笑みをくれて、「焼きたての塩鮭は最高です。皮がパリッと香ばしくてとても美味だ」と食事の感想を述べた。

思わず「え?」と聞き返したが、彼は私にではなく、他の下宿人たちに向けて言った。


「皆さんも温かいうちに食べないと。せっかくの美味しい朝食がもったいないですよ。時間もなくなります」


桐島さんのその言葉で、他の人もそれぞれの通学、出勤時間を気にして、箸を持ち直す。

再び食事の音が流れだした居間で、私は半開きの口でポカンとしてしまった。


まさか、私の説明が聞こえていなかったわけじゃないよね。

美味しく食べてくれるのは嬉しいけど、この状況で食事を楽しんでいられるのはどうしてなの……?


桐島さんの心が読めない私は、彼の横に突っ立ったまま、目を瞬かせるばかりであった。


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