愛育同居~エリート社長は年下妻を独占欲で染め上げたい~
それから十日ほどが過ぎ、九月最後の日曜日。
私はひとりきりの居間で座卓に向かい、職業安定所でもらってきた求人情報のコピーを読んでいた。
早速、就職活動を始めて、三日前に一社の面接試験を受けてきたけれど、アルバイトと下宿屋の手伝いしかしてこなかったことがマイナスに受け取られ、採用してもらえなかった。
『うちは即戦力になる人材が欲しいので……』という残念な返事を、その場でもらったのである。
簡単にはいかないと思っていても、断られると少しだけ落ち込む。
小さなため息をついて、壁掛けの振り子時計を見れば、時刻は十二時半になっていた。
そろそろお昼ご飯にしようと思い、立ち上がってドアを開け、廊下に出る。
紫陽花荘はシンと静まり返り、台所へと歩く私の足元の、床板が軋む音がいつもより大きく聞こえる気がした。
十日ほど前に『なるべく早く』と退去のお願いをした後、下宿人たちはすぐに動いてくれて、大学生三人と社会人ひとりが、先週の土日に引越し、そして昨日は横谷さんが、大阪から迎えに来た娘さんと一緒に、ここを出て行った。