愛育同居～エリート社長は年下妻を独占欲で染め上げたい～
桐島さんとひとつ屋根の下で暮らしていることを、秘密にしているわけではない。

けれども、これまで質問してくる人はいなかったので、笹木さん以外の他の社員には打ち明けていなかった。


本橋さんの表情と口調には、批判的な感じがあり、私はうろたえた。

「あの、違うんです。下宿屋の大家は、今は社長で、私が部屋をお借りしている立場で……」とたどたどしく訂正する。

そして、桐島さんが四年前に部屋を借りに来てから、祖母が亡くなり、立場が逆転している現在に至るまでの経緯をざっと説明して、本橋さんの顔色を窺いながら、「すみません」と謝った。

隠し事をしたと思われて、それが彼女の気に障ったのではないかと考えたのだ。


すると不愉快そうに眉を寄せて聞いていた彼女は、「ただの知り合い以上の関係なのね……」と独り言のように呟いた後、急に笑顔になる。

「少し驚いただけよ。問い詰めるようなことを言って、ごめんなさいね」と言ってくれたので、怒っていたわけではないようだ。

それについては安堵するところだが、本橋さんの笑顔は、どこか不自然である。

それを気にしつつ、「あの、私と社長は、ただの下宿人と大家の関係で、恋人ではありませんよ……？」と恐る恐る確認しておいた。

先ほど彼女が、『ただの知り合い以上の関係』と呟いていたから、誤解しているのではないかと危ぶんだためである。
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