愛育同居~エリート社長は年下妻を独占欲で染め上げたい~
空は冬曇りで、なんとなく薄暗い。

コートを着て空を見上げた私は、春はまだ遠いと感じつつ、寒気の中を電車の駅へと急いだ。



仕事に楽しさとやりがいを感じて没頭していると、あっという間に半日が過ぎて終業時間になる。

容器包装デザイン部では、アイスクリームのパッケージングチーム以外のほとんどの社員たちが帰り支度をし、「お先に。お疲れ様」という声があちこちから聞こえる。


私は自分の席ではなく、大型の特殊なプリンターなどが並んでいる部屋の端で、共有の机に向かって座っていた。

デスクトップのパソコンにインストールされている作画ソフトを用いて、紫陽花のイラストに注意深く彩色を施している。

新商品のアイスクリームのパッケージで私が担当しているのは、紫陽花のイラストのみ。

それを、他の社員が担当している背景画と組み合わせて調整し、さらに別の人がレタリングした文字を挿入してアイスクリームのカップに印刷すれば完成となる。


私の作業はあと少し。

今日中に完成させられそうだと胸を高鳴らせる私は、少し残業して帰ろうと、チームリーダーの席へ向かった。

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