残念系お嬢様の日常


「水怖いくせに必死に助けようとするなんて……変なやつ」

「だって……飛び込まないと、浅海くんが」

制服が透けて、女だということがバレてしまうかもしれなかった。

それだけは防いであげたかったんだ。


「俺はあんたは自分で動かずに誰かを動かせる人間だと思ってた」

「……そうですか」

「身を投げ出すのはすげぇけど、あんま無理すんな」

「……はい」

原作と同じでヒーローである天花寺が助けるべきだったのかもしれないけれど、今回は覚えのない不穏な動きがあったし、自分の目で真実を確かめに行きたかった。

誰が私の〝フリ〟をして浅海さんを追い込んでいたのかを。結局わからないままだけど。


「あの」

「なに」

「ありがとうございます」





< 172 / 653 >

この作品をシェア

pagetop