残念系お嬢様の日常


無事にプールサイドへと引き上げられると、水を吸った服の重量が身体にぐっとかかり力なくその場に座り込む。

いますぐ服を脱ぎ捨てたいくらい重いし、肌に纏わりついた濡れた服が気持ち悪い。

桐生は「タオル持ってきてもらってるから少し待ってろ」と言い、中等部の三人組の元へと行ってしまった。


「雲類鷲さん!?」

どうやら天花寺も到着したらしく、私を見るなり酷く慌てた様子でポケットからハンカチを取り出した。


「こんなのしかないけど、一先ずこれ使って」

「ありがとうございます」

天花寺から差し出されたハンカチを受けとり、とりあえず顔の水を拭き取る。また替えの制服を借りに行くしかないなぁ。

髪が長くて胸元を隠してくれているとはいえ、このまま歩くのはちょっと気がひける。

せめてブレザーがあれば羽織れるけれど、悲しいことに今は夏服なので羽織るものがない。


タオルが到着するまでおとなしくここで待っているしかないかな。




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