残念系お嬢様の日常
蒼の指差した先には、きちんと仕舞いきれていないダンベルがちらりと見えてる。
ベッドの奥の方へと押し込み、完全に隠して笑顔で誤魔化してみたけれど、蒼は呆れたようななんとも言えない表情をしていた。
「そんなに鍛えてどうするつもりなの」
「自分の身を自分で守るためよ!」
「……そんな危機あるかな」
蒼は知らないだろうけど、私にはこの先危険が待っているのよ。って、そうだ。
この間の初恋想の月光の少女の件聞きたいけれど、どう聞こう。
「蒼、小説を書くときはどんなことを決めて書いているの?」
「……どんなこと、か」
小説の話題を振られると思わなかったのか、困ったように眉を寄せて普段よりも声のトーンを落としながら蒼が言葉を続ける。
「俺は少し前に友達に誘われて文芸部に入ったから、そこまで作品を書いたことないんだ」
「そうだったの?」