残念系お嬢様の日常


「うん。文芸部の海老原ってわかる? その人に高校に入ってから誘われたんだ」

小説を書いていることが照れくさいのかあまり触れてほしくなさそうな蒼には申し訳ないけれど、どうしても私はなぜ蒼があの話を書いたのかを知っておきたい。

漫画の死に方と似ていることがどうしても気になる。


「月光の少女は昔から不思議な夢を見ていたんだ。あの主人公の結末はそれを反映した物語だよ」

「不思議な夢……」

「ただの夢のはずなのに、何度も見るんだ」

蒼は目を伏せて、少し悲しげに話し出す。

昔からよく現実味のある夢を見ることが多く、目が覚めても夢の中の出来事を不思議とはっきりと覚えていたらしい。

そして、ある時から夢の中で顔の見えない女の子が何度も階段から落ちるシーンを見るようになり、助けようと手を伸ばすけれど、いつもあと一歩で手が届かず助けられなかった。


それを文芸部の人に話したところ、物語にしてみたらどうかと言われて書いたらしい。





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