残念系お嬢様の日常


「だれ?」

そうなりますよね。すみません。

恥ずかしさで今にも逃げてしまいたいけれど、音を鳴らした犯人、腹部をぐっと抑えながらドアを開けて中へと入る。


「あの、すみません。いい匂いがしたのでつい……覗いてしまいました」

「へ? ……ああ、これかな」

彼はカップに注がれたお味噌汁らしきものを見て、首を傾げた。

あのいい匂いの正体はお味噌汁だったのか。なるほど。

側に黒い水筒が置いてあるので、おそらくは家から持たされたのだろうけど、それにしてもお坊ちゃんがお味噌汁持ってくるって意外だ。


「よかったら一緒に食べる?」

「え!」

「これ、結構量があるんだ」

ふわりと微笑んだ彼は控えめで優しい雰囲気を醸し出している。

制服が高等部だけど、こんな人いたかな。顔も整っていて確実に目立っていそうだし。


「いえ、大丈夫ですわ。ありがとうございます」

「そう?」

さすがに悪いと思って断ったけれど、再び腹の虫がグギュウウウ!と暴れだす。

お願いだから、ちょっとおとなしくしてて!


しっかりお腹の音は聞かれてしまったようで肩を震わせながら笑われている。





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