残念系お嬢様の日常
私のことをじっと見つめている景人から目を逸らさずに続きを吐き出す。
「言えばいいじゃないですか。桐生拓人のこともわざとらしく褒めてないで、馬鹿な弟だって。貴方が投げ出したものを全て背負わされて、逃げずに耐えているのでしょう」
景人の目が警戒するようにわずかに細められる。
本当は関わらない気だった。でも、桐生拓人には借りがあることを思い出してしまった。
私がプールで溺れて、もうダメかもと思ったときに桐生は水に飛び込んで助けてくれた。その恩はきちんと返さないといけない。
自らぶんどってしまったイベントをきっちりこなしてやろうじゃない!
「君は僕らのことをなにか知っているの?」
「いいえ、なにも知りませんよ」
原作の知識以外はね。この世界がどこまで忠実なのかはわからない。
でもきっとこの人は猫を被っている。瞳に宿った鋭い光が本当の彼が温厚ではないことを物語っているように見える。