残念系お嬢様の日常
話しているとだんだん思い出していく原作の三巻あたりで触れられていた桐生兄弟の話。
そこまで深くは触れられなかったけれど、桐生が仏頂面なのは兄のことがあったからと天花寺が主人公に話すんだ。
「それとここに出入りしている〝幽霊〟はあなたに会いに来ていますね」
「お腹を空かせてやってきた子が、こんな怖い子だとは思わなかった」
「私もいい匂いにつられてやってきたら、こんな恐ろしい人が待っていたなんて思わなかったわ」
景人は不敵に微笑んで腕を組んだ。威圧感のある鋭い視線が私を射抜き、必死に震えそうな手を抑え込む。
こ、怖くないし。へっちゃらだし。むしろかかってこいだし。
「アンタの言う通り、馬鹿な弟だよ。俺が嫌になって投げ出したことを、アイツは全部背負わされている」
「病弱であまり学校に通えていないというのも嘘ですよね」
「小学校の頃は本当に嫌でたまらなくて引きこもってたけど、中学からは抜け出して遊び歩いちゃってさ。高校では出席日数が足りなくなって、親に戒めとして留年させられちゃった」