残念系お嬢様の日常


「あの兄弟は仲は良かったの?」

『うーん、どうかな。お互いにコンプレックスは抱えていたんじゃないかなー』


自由なくて完璧を求められていた兄、景人。

明るくて人を惹きつける弟、拓人。


全く違う二人だからこそ、互いに劣等感を抱いていたのかもしれない。


『で、君はその二人の問題に関わる気なんだ?』

「……借りを返すだけよ」

桐生とは仲良くなれる気はしないけど、プールで助けられたあの借りをちゃんと返しておきたい。

あの時、本当に桐生には救われたんだ。

ある程度事情と未来がわかる私だからこそ、できることがきっとあるはず。

それにこれはあの二人だけの問題ではなくて、もう一人関わっている。その人になら私だってコンタクトはとれるからなんとかなるはずだ。


『ありがとう』

「……どうして雨宮がお礼を言うのよ」

『たとえ、原作通りの人間関係でも拓人たちは俺にとって大事な友達なんだ』

その声からは優しさを感じて、本当にそう思っているのだと電話越しに伝わってくる。




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