残念系お嬢様の日常

「へ?」

「姉さんが呼んでるって嘘ついた」

何故彼が嘘をつくのか理由がわからない。

先ほどの無表情とは違って少し気まずそうな様子で目が伏せられていて、更に困惑していく。

彼はもしかして助けてくれたのかしら。



「困っているように見えたから。……違った?」

「いえ。あの、ありがとうございました! えっと……蒼様」

「様とか付けなくていいよ」

「えっ」

「俺、そんなすごい人でもないし。普通に呼んで」

とはいっても、彼は十分有名ですごい人なのだと思うけれど。

この花ノ宮学院の理事長の甥で、花ノ姫の中でも特に目立っている紅薔薇こと雲類鷲真莉亜の弟。

それだけで様を付けて呼ばれる理由になると思うわ。





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