残念系お嬢様の日常


一木先生は認めるつもりはないらしく、余裕のある口調であくまで真莉亜の誤解であると話している。

けれど、先ほど二人で話していたときのあの眼差しで確信した。この人が犯人だ。


向けてきた眼差しは教師としてではなくて、男としてのものだった。

思い出すだけで、寒気がするくらいゾッとする嫌なものだわ。


「スミレに送られてきた画像の中で、放課後に撮られているのは水曜日だけです。それが何故だかわかりますか」

「さあ、知らないな」

「テニス部の部活動が休みの日だからです」

「へえ。でも、僕には関係のないことだよ」

「そうですわよねぇ」

真莉亜は口元に手を添えて、くすくすと笑い出す。

その笑みは恐ろしいくらい綺麗で、残酷なほど冷たかった。



「あーんな、私利私欲の塊の気持ち悪い盗撮が先生のわけないですよねぇ。一方通行で相手の気持ちを考えない独りよがりな勘違い男の気持ち悪さが滲み出ていましたし。あんなの純粋な恋ではないですわよね。決して実らない不純な汚らわしい恋ですわ」






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