残念系お嬢様の日常
「他の人がどう思うかとか、世間がとか関係ないわ。ふたりが姉弟だと思っているのなら、それは真実よ。真莉亜のこと、自分のお姉ちゃんのこと、好きでしょう?」
「……それはもちろん」
姉さんも、母さんも父さんも。
みんな大事で大好きな家族だ。
それは幼い頃からずっと変わらない。
「じゃあ、〝お姉ちゃん〟に言ってあげるべきだわ。気持ちって言わないと伝わらないもの。……って、スミレも兄達には滅多に言わないけど」
水谷川さんみたいな人が姉さんの友人でよかった。
「ありがとう、伝えてみるよ」と返すと、水谷川さんは「うわははは」と謎の笑い方をした。
普段は真栄城さんの後ろに隠れてあまり話さないようだけど、警戒が解かれると子犬みたいに懐いてくれるようだ。
「真莉亜は今日休みかしら。教室に行ってもいなかったわ」
「いや……登校してるよ。どこかに避難しているのかもしれない」
さすがに姉さんももうこの噂を耳にしているだろうし、授業開始までどこかに隠れているのかもしれない。
異常なほどの視線を浴びながら教室で過ごすのはかなり心地悪いだろうし。
連絡を入れておいたほうがいいかもしれない。
「やっと見つけた。……あれ、珍しい組み合わせだね」