残念系お嬢様の日常
「……ああ、右側は譲の父親。となると、もうひとりは真栄城の父親じゃない?」
胃痛仲間の男の人は、雨宮のお父さんだったの!?
その隣で柔らかな表情で微笑んでいる人が瞳のお父さんか。
瞳のお父さんは微笑んでいる表情が似ているけれど、雨宮のお父さんはあまり似ていない。
「仕掛けるならそろそろだね」
「え、そろそろって……始まったばかりですよ」
「だからでしょ」
立食用のテーブルの前でシェフが腕を振るい、温かな食事がどんどん提供されていく。
シェフが料理を作りながら見せるパフォーマンスには時折拍手が起こるくらいだ。
この状況でいったいどんなことを仕掛けるというのだろう。
「婚約の話はこのパーティーで進んでいくのはわかりきっている。父親も子どもも揃っているしな」
「瞳も今日進むだろうって言っていたわ」
「だったら進む前。このタイミングの方がいい。お喋りな大人たちがうじゃうじゃいるこの空間で婚約の話が出てからじゃ手遅れだ。あっという間に広まる」