残念系お嬢様の日常
私のパンツを見てしまった約一年前の出来事を今更謝罪って! しかも、あれは風のせいだし。わざわざ謝らなくていいし! てか掘り返すな!
「天花寺様」
余程照れくさかったのか真っ赤な顔をした天花寺をキッと睨む。
「天花寺様が気にしてくださったお気持ちはわかりました。けれど、女性にわざわざそのようなことを伝えるのはいかがなものかと」
「えっ! ごめん!」
はあ……本気でパンツ謝罪したかったんだね。謝りたいって優しい気持ちはわかったけど、でもデリカシーに欠けてるよ。
「その……私も恥ずかしいので」
「う、うん」
「忘れてくださると有難いです」
「そ、そうだよね。気が回らなくてごめん」
わかってくれたようで、天花寺は申し訳なさそうに謝るとふらふらとした足取りでどこかへ行ってしまった。
浅海さんを口説くまでにはデリカシーを身につけてね。漫画の中ではもう少しカッコよくて紳士だったから、きっとなれるはずだ。
こうして私のときめきは、いちご収穫事件によって打ち消された。