残念系お嬢様の日常


辺りを見回してみると、すぐに雅様を発見できた。

やっぱ雰囲気が他の人と違っていて目立つもんなぁ。すでに席についていて、取り巻きと優雅に談笑している。

その少し遠くの方にトレイにのったランチを運んでいる浅海さんを発見。そうだ。ここの学院はスペシャルコースは席まで運んでくれるけれど、それ以外のコースは自分で運ぶんだよね。


うわー、ということはあれを運んでいるところで躓いてスープぶっかけちゃうのか。

さりげなく進路を変えさせるしかないかな。


「真莉亜、どうしたの?」

立ち上がった私を瞳とスミレが不思議そうに見上げてくる。

お水を取りに行くっていうのは、スペシャルコース頼んだのに不自然だし……ここはあまりお行儀が良くないけれど、これしかないか。


「ちょっと……お手洗いに」

そそくさとその場を立ち去り、事件が起きる場所へと向かう。浅海さんの居場所を確認するとすぐそこまで来ていた。

おっと、危ない危ない。この調子で私が歩いていけば、浅海さんは避けるはずだ。


つまりは浅海さんが転ぶはずのあたりに私が立っていて、浅海さんが進路を変えれば未来が変わるはず。





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