極上CEOの真剣求愛~社長の言いなりにはなりません~
すると、クスクスと含んだ笑い声が耳をくすぐる。
怪訝に思いながら再び目を上げると、神楽さんがスラックスのポケットに片手を突っ込み、肩を揺すって笑っていた。


「あの……?」

「いや、別に褒めてないけど。でも、その調子」

「はい?」

「簡単になびく女じゃ、努力する意味もない。お前くらいカチカチな方が、俺の本気がくすぐられる」


一瞬宙で目が合い、軽くウィンクをされて、私は不覚にもドキッと胸を弾ませてしまった。
ここはなにか言い返しておかねば、と焦り、大きく息を吸い込む。


「で、ではその本気は仕事にぶつけてください」

「いつもぶつけてるよ。そろそろ行くか? 今日の一発目、企業トップ会議だろ?」


いきなりスイッチを切り替えたボスに促され、私は条件反射でシャキッと背筋を伸ばした。


「は、はいっ! 会議は九時からなので、もうそろそろ……」


焦って言い繕い、左手首の腕時計で時間を確認する。
時計の針は、八時十五分を指していた。


会議が行われるのは、グループ企業の中枢である、メガバンクの役員会議室だ。
このビルからは徒歩圏内で、それほど急いで出なくても間に合う。


「……神楽さん、朝食は召し上がりましたか?」


だから私は、そう言いながら胸を張った。
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