極上CEOの真剣求愛~社長の言いなりにはなりません~
でも、雰囲気はだいぶ違う。
茶色く柔らかそうな猫っ毛の神楽さんに対して、清家さんは漆黒のサラサラショートヘア。
物静かで紳士的な人で、インテリジェントという言葉がよく似合う。


「神楽さんなら、トップ会議の後、ランチ懇親会に出席されています。お戻りは二時頃の予定です」


朝、神楽さんにも諳んじたことを、彼を訪ねてきた清家さんの前でも繰り返した。
清家さんからは、「そ」と短い声が返される。


「あの。なにか御用でしたら、申し伝えますが」


口に手を遣り、なにかを逡巡する様子の清家さんに、私はそう付け加えた。
それにも彼は考えているのか、顎を摩りながら何度か小さく頷き返す。
そして、静かに口を開いた。


「今夜の約束、キャンセルされただろ? 実は話したいことがあったんだけど」


私は、『あ』という形に開いた口に手を当てた。


「そ、そうだったんですか」


神楽さんは、『清家のならいつにでも変更できるだろ』なんて言っていたけれど、彼にお伺いを立てた方がいいのかもしれない。


「でしたら、神楽さんが戻られたら、もう一度……」

「ああ、いや。会食じゃなくてもいいんだ。帰る前にちょっと時間取ってくれないかな。すぐ済むから。十分でいい」

「そ、そうですか?」


清家さんに遮られて、私はちょっと拍子抜けしながら首を傾げた。
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