極上CEOの真剣求愛~社長の言いなりにはなりません~
大事な用なのに、十分で済むんだろうか。
私は一度首を傾げたものの、すぐにシャキッと背筋を伸ばした。


「では、そのように伝えます」

「よろしく」


清家さんは短くそう言って、私に背を向けた。
来た方向に向かって一歩足を踏み出したものの、なぜだかそこでピタリと足を止め、再び私を振り返る。
私は一瞬ドキッと胸を弾ませながらも、無意識に背筋を伸ばした。


「あの。まだなにかご用件が?」


話を促すつもりで訊ねると、彼は目を細めてニコッと笑った。


「うん。今度は、秋津さんに」

「私……? はい。なんでしょうか?」


清家さんが私に用事なんて。
なんだろう?と緊張しながら、ドキドキと加速し始める心臓を意識して、私は胸に手を当てた。
彼は笑みを湛えたまま、両手をスラックスのポケットに突っ込む。


「見たところ、これからランチに出かけるところだった……ようだけど」

「え? あ、はい」


清家さんの視線が私の手の長財布に向けられているのに気付き、私もつられてそこに視線を落とす。


「午前中の会議の記録、ちょっと時間かかっちゃいまして。神楽さんのお戻りに間に合わないので、サッと行ってこようかと」


そう説明を付け加えると、彼が「よかった」と返してきた。
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