極上CEOの真剣求愛~社長の言いなりにはなりません~
「はい。戻ってきてから議事録を進めていたら、意外と時間がかかってしまいまして」


再び指を動かし始めながら、ビジネスライクに返答する。
私の視界の端に、彼が革張りの椅子にドカッと勢いよく腰を下ろすのが映り込んだ。


「……清家と、一緒だった?」


上目遣いの視線をちらりと向けられ、私は一瞬全身を硬直させた。


「えっ!?」


不意打ちの質問にギョッとして、聞き返した声がひっくり返る。


「一台前のエレベーターに、一緒に乗っていくの、見たから」


神楽さんは素っ気なく言葉を重ねると、長い足を組み上げた。
私から目線を外さずに、鷹揚な態度でシートにふんぞり返る。


「え、っと……はい。あの、たまたま私が部屋を出る時、いらっしゃったので」


意味もなくドクドクと騒ぎ出す胸の鼓動を意識しないよう、私は努めて冷静に、何食わぬ顔をして返事をした。
それには「ふ~ん」と鼻を鳴らして返される。


「たまたま……ね」


神楽さんはやけにゆっくり自分の口で呟くと、私からふっと目を逸らした。
私が目で追う前で再び椅子から立ち上がり、スーツの上着を脱ぐ。


「最初から、お前を誘いに来たのか? アイツ」


脱いだ上着をデスクにバサッと放り投げ、私にそう訊ねてくる。
< 20 / 21 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop