極上CEOの真剣求愛~社長の言いなりにはなりません~
『本当は、CEO付きは男性秘書に変えるべきなんだろうけどね。そうすると、錦の士気が下がる。真面目な仕事ぶりと評価の高い君なら、惑わされることなく立派に職務をまっとうしてくれるだろう。そういう期待からだよ』


清家さんの含みのある言い方でピンときた。
スキャンダルの相手の女性は、神楽さんの元秘書だったんだろう。
恐らく彼女の方が清家さんにどっぷり惚れ込み、なにかしら問題を起こした。
その後彼女が自主退職したことを、私も知っていた。


いろいろ思うところはあったけれど、『CEO付きの秘書』に適任と評価されたのは、光栄に違いない。
もう一人のトップであるCOOからも『期待してる』と直々に言ってもらえた。
ならば、その評価に傷をつけたくはない。


初めてで右も左もわからない秘書という仕事も、必死に勉強して頑張って……。
転属から丸二年、清家さんの期待通り、私はなんの問題も起こさず、『ボスと秘書』の関係を続けている。
だけどそれは、私の涙ぐましい精神鍛錬の賜物だ。


私は窓から視線を動かし、視界の端っこで神楽さんを窺った。
彼はすでにビシッと黒いスーツの上着を羽織っていて、ドア脇の姿見の前で、髪のセットを直している。
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