ファンタジー探偵と学園祭
「生徒がいつ、どこで怪我や病気をしたか書いてあるんです。グリム先生の提案で三年ほど前からずっと書いているんです」

「この学園の全ての生徒のが書いてあるんですか?」

シンデレラが頷いてアイリーンの背後にある大きな棚を指差す。ファイルに挟まれてきれいに整頓されている。

アイリーンは許可をもらい、紙を見せてもらった。

『白雪姫 ×月×日 腹痛
×月×日 微熱』

『赤ずきん ×月×日 すり傷
×月×日 捻挫』

『ピーターパン ×月×日 頭痛
×月×日 打撲』

丁寧に書かれた紙をアイリーンはじっと見つめた。

「……ずいぶん細かく書いてありますね」

「グリム先生は几帳面ですから!おまけに、生徒がどこで怪我や病気をしたかも覚えているんですよ」

アイリーンはシンデレラの話を聞いて、おかしいと思った。几帳面な人にしてはありえないと思った。

「でも、ここだけの話、グリム先生もやばいんですよ」

シンデレラは一人で話し始めた。

「昔、アイドルグッズを大量に書いすぎて、奥さんと大ゲンカしたとか…。今はもう買ってないらしいですけと……」

「その昔というのは、何年前ですか?」

「う〜ん……十年くらい前だったかなぁ」

その時、校内放送が鳴り響く。シンデレラが呼び出されていた。

「もう教室、戻って大丈夫ですよ!」

そう早口で言って、シンデレラは医務室を出て行った。シンデレラが医務室から出て行ってすぐに、アイリーンは動いた。
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