ファンタジー探偵と学園祭
かぐや姫が去っていったあと、オオカミが言った。

「よっしゃぁ!犯人を捕まえるぞ〜!」

「オオカミくん、僕らはタキシードなどを守るんですよ」

桃太郎が慌てて言った。

「……頑張ってください」

アイリーンはそう言って教室を出た。塔がどんなものなのか、しっかり見たことがなかったので、見ておこうと思ったのだ。

眠り姫に学園を案内された時は、校舎の中と寮しか案内されなかった。この学園の敷地はとても広い。

塔の入り口には鍵がかかっていて中には入れない。アイリーンになら簡単に開けることができるが、それは犯罪になってしまう。

ぐるりと塔の周りを一周しようと思ったが、できなかった。崖のギリギリにこの塔は建っているからだ。

ドレスが破かれた部屋にあったハサミは、美術室に置いてある誰でも使えるハサミ。しかも市販で売っているものだ。

あの人がボーガン事件とドレスを破いた人……でも、まだ黒幕がわからない……。

アイリーンは心の中で呟いた。



それから五日間、オオカミたちは交代しながら塔の中でドレスを見張っていた。最初は緊張していたが、何も起きないので油断していたのだろう。事件は起こった。

「アイリーンちゃん!ハッターたちまだ来てないの?」

寮の食堂で朝食を食べようとしていたアイリーンに、アリスが話しかける。

「まだ来ていないんですか?」

アリスは首を縦に振る。
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