ファンタジー探偵と学園祭
おかしかった。オオカミたちは朝食前には寮に戻って来ていたからだ。

「おかしいよね。様子を見に行こう!」

話を聞いていたピーターパンがそう言い、塔へと向かう。その後にアイリーンとアリス、眠り姫や生徒数人が塔へと向かった。

塔の長い階段を上り、木でできた大きな扉の前に立つ。

「オオカミくん!朝食ですよ!」

「桃太郎!ハッター!」

外から呼びかけても、扉を叩いても、中からは何の反応もない。

アイリーンが扉に手をかけると、中から鍵がかけられているようだ。

「中で何かあったのかもしれません…!」

アイリーンが言うと、みんなの顔に不安が宿った。

「鍵はあの三人が持っているんですよね?」

アイリーンが眠り姫に訊ねる。眠り姫は頷いた。

「そうです。いつも桃太郎さんに渡していました」

「では、この扉を壊して入るしかありませんね」

アイリーンはそう言い、扉に思い切り体当たりをし始めた。初めは呆然とそれを見ていた生徒も、一緒に体当たりを始める。しばらくすると、扉が壊れた。

「ハッター!みんな!!」

アリスが叫ぶ。

部屋に置かれていたドレスやタキシードは、また破かれていた。部屋には三人が倒れている。アイリーンは一人ずつ様子を見た。

「どうしよ…。三人とも死んでる……」

アリスが体を震わせ、泣きそうになる。アイリーンは「大丈夫ですよ」と微笑んだ。

「三人とも眠らされているだけです。おそらくあのお茶に睡眠薬が入っていたんだと思います」

床の上には、少し大きめのおぼんの上にティーポットとカップが置かれている。カップの中には、すっかり冷めてしまった紅茶が入っていた。
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