ファンタジー探偵と学園祭
「このお茶を淹れたのは誰ですか?」

「……僕です」

アイリーンが訊ねると、子ブタが手を上げながら言った。

「でも、そのお茶は誰でも淹れることができます。あらかじめ犯人が睡眠薬を入れたのかもしれないし、僕じゃありません!」

「それに子ブタさんはお茶を淹れただけで、私がこの三人のところに持って行きました」

子ヤギが言った。

「このティーカップはちょうど三つしかありませんし、犯人はおそらくカップの中に睡眠薬を塗ってあったのかもしれませんね」

アイリーンがそう言った時、「アイリーンさん!これ見てください!」と眠り姫が壊れたドアの前を指差した。

そこには、この部屋の鍵が落ちていた。

「……密室……」

ピーターパンが呟く。

アイリーンは部屋を観察していて、ふと足元を見つめた。部屋は長い間掃除していなかったのだろう。埃がたまっている。そして足跡が部屋中にあった。三人の足跡なのか、犯人の足跡なのかは、わからない。

部屋の窓はかなり高い。アイリーンは手すりに顔を近づける。しばらく手すりを見た後、今までに起こった事件や会話などを思い出していく。そしてーーー。

「……謎は全て解けました」

アイリーンは振り返り、みんなを見つめた。みんなの顔に緊張が走る。

「やっとわかりました。ボーガン事件の犯人も、このドレスを破いた犯人も、全てわかりました」

アイリーンはある一人の人物を指差した。

「実行犯はあなたです!!」

それは、ピーターパンだった。

「何を急に……。僕はやってない!」

ピーターパンは怒りながら言った。

「ねぇ、今…『実行犯』って言わなかった?犯人は一人じゃないの?」

子ブタが訊ねる。

「犯人は二人います。黒幕と実行犯です」

「だから僕はやってない!どこに証拠があるんだ!」

「証拠はあります!これです!」

アイリーンは素早くピーターパン骨折している腕を掴む。しかし、ピーターパンが痛がる様子はない。アイリーンはギプスを外した。

「……あなたは骨折なんてしていない。自分が疑われた時に「骨折をしているから無理」とでも言って、容疑者から外れようとしたんでしょう?でも、そうはいかない」

「……何でわかった?」

ピーターパンはアイリーンを睨みながら言った。
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