ファンタジー探偵と学園祭



「ラプンツェル!髪を結べ!」

「野獣先生、おはようございます!」

非現実的な学園の生活が始まった翌日。アイリーンもみんなと同じように教室に向かう。

「おはよう、アイリーンちゃん!」

教室に入るとアリスが抱きついてきた。

「お、おはようございます…」

急に抱きついてきたことに、内心少し驚きながらアイリーンも言った。

チャイムが鳴り、席にみんなが座るとアンデルセンが教室に入ってきた。

「えっと…今日はパーティー会場の準備をみんなでしてもらうから、会場にホームルームが終わったら会場に行ってくれ」

教室中が騒がしくなる。アイリーンの目の色が変わった。

脅迫の手紙が届くだけとは限らない。何かが起こるかもしれない……。

アイリーンは生徒たちをよく観察することにした。

「先生、俺はどうしたらいいですか?」

ピーターパンが手をあげる。たしかに骨折している腕では力仕事などはできない。

「ああ〜…。じゃあ他のクラスの手伝いでもしてくれ」

アンデルセンがそう言い、ホームルームが終わった。

パーティー会場は広く、天井に輝くシャンデリアがぶら下がっている。

「この机、ちょっとどけよう」

「こっちに椅子持ってきて〜」

先生の指示通りみんな動いている。アイリーンも机を片付けながら、みんなの様子を観察していた。
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