覚悟はいいですか

でも少なくともこんな話、会長が認めるとは思えない

わが社は私が見合いしなければ揺らぐような経営はしていない。むしろ仕事に誇りを持って日々研究している製品チームや、自社製品を愛してやまない営業マンを私はたくさん知っている
この話を承ける方が会社のためにならないと思うが、部長達の意見は違うようだ。仕方なく、見合いだけはするが縁談は断ることに決めた

私が直接断ればいいのだ、問題は何もないと思われた

待ち合わせの一流ホテルには一人で向かった。先方があまり堅苦しくないように一対一の方がよいと気を遣ったようだ

時間通りに指定の場所で待っていると、一目でオーダーとわかるブランドスーツを着た男性がこちらに向かって歩いてきた
やけに澄ましたその表情が、何となく冷たく感じて背筋がゾクッとする

一通り挨拶を交わして飲み物が来ると、その男ーーー堂嶋公彦氏は滔々と自分の家の話を始めた
堂嶋家は何人も大臣を輩出した名家だとか、資産が多いから管理が大変だとか……
家の自慢話ばかりで、正直、あなた自身はどうなんですか?と突っ込みたくなる。私のことや、将来をどんな風に考えてるとか質問することもないし、本当に結婚を見据えて交際したい位、私に興味があるのかしら?

まあ、どうせお断りするからと黙って適当に相槌を打っていたら、何を思ったのか、今度は勝手に今後の二人の人生プランを語りだす

さすがに耐えかねて、「あのっ」と声をかけた

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